01.塗料による衝撃性の変化。
ある企業の樹脂製品は、耐久性に変位があり原因が長らくわかりませんでしたが、計装化した衝撃試験機によってその理由が明らかになりました。次のグラフは未加工品と下塗り、塗膜完成品それぞれに同様の衝撃を与えた結果です。未加工品は破断までに多少のねばりを経ていますが、下塗り段階の製品(青色)は、未加工品よりも耐久力が落ちてすぐに破断していることがわかりました。塗膜完成品(緑色)はさらに耐久力が落ちていることもわかります。
これらのデータは、より適した粘弾性特性を持つ塗料の開発に活用されています。
※赤色は未塗装の樹脂・青色は下塗り・緑色は塗膜完成後
02.高速ビデオとクラックの自動追尾。
炭素繊維強化樹脂といった強度の高い材料は、破断する際に急激にクラックを形成・発展させます。肉眼で観察するのはなかなか難しいため、衝撃特性は高速ビデオでのチェックが必要です。撮影に加えてクラックを追跡する機能があれば、どのようにクラックが広がり破断に至ったのか詳しく観察することができます。これらの機能は数値グラフと連動させて試験結果を分析が可能です。
複合材料コンポジットを扱った工場の例です。試験条件は20m/sで荷重も23kNと大きく、データと画像の分析に手間と時間がかかっていましたが、計装化によって高ひずみ速度における物性を詳細に分析することが可能になりました。試験の結果、最大荷重に達するとサンプルが破断することがわかりました。また、グラフを任意の位置でクリックするとビデオ映像も同期して表示されるようになっているため、一台のパソコンで試験評価を短時間で行うことができるようになりました。
03.温度変化の再現。
車の部品を製造する会社の例です。
常温では十分な衝撃耐久性を持っていたドアミラーが、寒冷地で運用すると非常に割れやすいとの報告を受け、寒冷地の衝撃特性を検証するため、温度チャンバーを利用して試験を行いました。結果、23℃の室温(緑色)では、破断まで緩やかなグラフを描いているのに対し、−30℃の低温下(赤色)は衝撃を受けた際にすぐさま破断しているのがわかります(グラフ参照)。
低温による耐久力の低下は思わぬ事故につながる他、急激な破壊は破断面が鋭くなるので別の材料を検討したほうが良いことがわかりました。
※緑色…23℃・赤色…−30℃